伏線回収の衝撃と快感にページをめくる手が止まらなくなるミステリー【おすすめ】
突然ですが 皆さんがミステリー小説に求める魅力には どういったものがありますか?
もちろん ミステリーには数え切れない程の様々な魅力がありますが、そんな中でも今回の記事では魅力の代名詞の一つといっても過言ではない(・・と思う) “伏線”について取り上げてみたいと思います
本記事ではミステリー小説における “伏線” の解説、更にはその衝撃と快感といった魅力を存分に感じられるおすすめ小説をいくつかご紹介しますので、よろしければお付き合いください。
ミステリー小説における“伏線”とは?
“伏線”
小説に限らず、漫画・映画など多くのコンテンツを消費する中でよく聞く言葉です。
「あの作品は“伏線”の張り方がすごかった・・」とか「物語最後の“伏線回収”が素晴らしかった・・」など
しかし“伏線”という言葉の意味をなんとなく雰囲気で理解し、日常の中で使われている方も案外いらっしゃるのではないでしょうか。
かくいう私もそんな一人でした。
せっかくなので、本記事では詳しく解説したいと思います
まず “伏線” をGoogleで検索すると・・
あとで述べる事のためにあらかじめほのめかしておく、話の筋。
と出てきます。
ちなみにWikipediaだと、
伏線(ふくせん)とは、物語や作劇上の技術のひとつで、進行上の将来に起こる(知らされる)重要な内容について、因果関係(線)を伏せて事前に示唆しておく手法である。
とあります。
つまり小説における伏線とは、物語内で後に起こる出来事や結末を、何となく予想させるような情報、ヒントになる文章のことですね。
最初、サラッと読んだときにはわからなかったり気付かなくても、後から読み返すと「あ、なるほど」、「そういうことだったのか!」となる要素で、読み手に衝撃と快感(満足感)を、そして読み味をより一層奥深いものにしてくれます。
伏線の優れた作品は繰り返し読んでみたくなるんですよね。
伏線・伏線回収の衝撃と快感がすごい、おすすめミステリー小説
『六人の嘘つきな大学生』
まず最初は 浅倉秋成 さんの作品、『六人の嘘つきな大学生』から。
先鋭的かつ時代の波に乗ったIT企業である“スピラリンクス”
その最終選考に集まった六人の就活生。
そこで与えられた課題は一ヶ月後にその六人のチームでグループディスカッションを行い、その出来栄えによって内定者を決めるというもの。
当初、内定人数に制約はないとの説明から、六人は一丸となって全員内定を目指したチーム作りをはじめる。
ところが本番直前になって採用担当から言い渡されたのは「六人の中から一人の内定者を決める」という残酷な言葉。
一ヶ月かけて築き上げたチームのはずが、一瞬にして全員がライバルという極限状況に戸惑う六人。
そして始まったグループディスカッションの最中、六人それぞれに宛てた封筒が見つかり、その中には「**は人殺し」といった告発文が見つかり・・
物語は2部構成となっており、就活最終選考(前半)とその後(後編)に分かれています。
就活生それぞれの過去、そして明らかになっていく人間性など前半もかなり緊張感のある展開ですが、後半も衝撃的な展開から始まり、そして次々に回収されていく怒涛の伏線には鳥肌が止まりません。
人間関係の中で相手を理解することの難しさを改めて考えさせられる作品です。
自身にこういった就活経験がなくても相当に面白かったので、経験のある方、又これから経験する方は更に楽しめるかもしれません。
映画化も決定しており、もうまもなくの2024年11月に公開されます。
『殺戮にいたる病』
続いて、我孫子武丸さんの『殺戮にいたる病』。
東京の繁華街で次々と起こる猟奇的な殺人事件。
凌辱と惨殺を繰り返すその男 、“蒲生稔”の軌跡を描く戦慄の物語の結末は・・
あらすじだけ見るとシンプルなストーリーに思えますが、衝撃的なラストと伏線回収の秀逸さに、最後まで読むともう一度最初から読み直してみたくなる作品です。
ただ全編通してかなりグロい表現とセクシャルな表現が多いため、そういった内容が苦手な方にはおすすめできません。
自身も人に勧める際は、かなり相手を選んでます・・
ちなみに時々 Kindle unlimited で読み放題の対象となっている事があります。
気になる方は↓の記事をどうぞ。
『medium 霊媒探偵城塚翡翠』
続いては相沢沙呼さんの『medium 霊媒探偵城塚翡翠』。
死者とつながる能力を持つ、霊媒体質の美少女 “城塚翡翠” が推理作家 “香月史郎 ”といくつかの事件を解決しながら、やがて連続死体遺棄事件の真相に迫っていく・・といった物語。
主人公 “城塚翡翠” の霊媒体質を主軸としたミステリーで展開は章(話)仕立て、いくつかの事件を解決していき、やがて大きな事件へ繋がっていくといった流れ。
霊媒として死者の言葉を受け取れる・・といったミステリーとしては反則の様に思うスキルだが、現実通りそのまま証拠にはできないという縛りがあるため、解決には論理的な説明、証拠が求められます。
主人公と共に事件に挑む作家 “香月史郎” が霊視という非現実的な情報を論理的な説明に結びつける橋渡しの役を担っており、この二人の関係性も本作の見どころ。
章(話)ごとでももちろん満足のいく展開なのですが、本の帯コメント『全てが伏線』の通り、後半での衝撃の展開、伏線回収は圧巻・鳥肌ものです。
ちなみに第20回本格ミステリ大賞を含む五冠獲得、2020年本屋大賞にもノミネートされていますが、納得の一冊ですよ。
続編『invert 城塚翡翠倒叙集』、『Invert II 覗き窓の死角』も刊行されており、2022年にはドラマ化もされている人気シリーズです。
本作品は “特殊設定もの” ミステリーとしても秀逸な作品で、そちらをまとめた記事でもご紹介しています。
『カラスの親指』
続いて道尾秀介さんの作品、『カラスの親指』。
本作は伏線の回収という意味でも素晴らしい作品ですが、“読後感”の良い作品としてもおすすめです。
簡単なあらすじや内容(ネタバレなし)については、以下の記事でも詳しく解説しているので、そちらをどうぞ。
【最後に】伏線、伏線回収の衝撃と快感はミステリー小説の数ある魅力の一つ
“伏線回収の衝撃と快感にページをめくる手が止まらなくなるおすすめミステリー作品” の紹介、いかがだったでしょうか。
伏線の張り方、伏線回収の優れた作品は今日ご紹介した分以外にもまだまだ数えきれない程存在します。
割に人気のあるテーマだけに、この条件に絞って小説を探してみるのも面白いかもしれませんね。
本記事が読書、小説好きな方の読書体験を向上させるお役に少しでも立てれば幸いです。
ではまた次の記事でお会いしましょう。