小説だから触れられる・・【人生・生き方】を考えさせられた小説5選
小説を読むことの魅力はたくさんあります。
その一つとして他者の体験、人生・生き方に文章を通して触れられる、といった点は小説を読むことの非常に大きな魅力の一つではないでしょうか?
現実の自分の人生では選べない・選ばないような選択の先にある【人生・生き方】の 結果に、小説だからこそ触れられるその魅力。
もちろん多くの作品はフィクションなので現実とは異なりますが、それでも共感させら れたり、怖いもの見たさで思わず覗き見たくなるような魅力的な作品は数多くあります。
今回の記事では筆者が今までに読んだ作品の中から、【人生・生き方】を考えさせられる・・ と感じたおすすめの作品を5つご紹介したいと思います。
もしかすると、あなたの人生・生き方に影響を与えるような作品と出会えるかもしれません。
【人生・生き方】を考えさせられた小説5選
①『永遠の0』百田尚樹
「娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために」。 そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。 終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。 想像と違う人物像に戸惑いつつも、一つの謎が浮かんでくる。 記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは。
『永遠の0』 百田尚樹 講談社 文庫版巻末あらすじより引用
戦時中、天才的な零戦パイロットであった宮部の生涯を孫である健太郎が追いかけていく物語。
生きることに何よりこだわり、死を恐れたはずの祖父が間際で選んだ選択の理由が、当時を生き抜いた人たちの口から明らかになっていく・・
当時の立場の違いから、同じ一人の人間を語っているはずなのに、あまりに印象の違う人物像。
祖父、宮部久蔵の本当の人物像、そしてその時代の真実とは?
生き方を選べなかった時代が感じられる一冊です。
映画、ドラマなどの映像化も多い作品ですね。
②『八日目の蝉』 角田光代
逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなた の母になれるだろうか……。 東京から名古屋へ、女たちにかくまわれながら、小豆島へ。 偽りの母子の先が見えない逃亡生活、そしてその後のふたりに光はきざすのか。
『八日目の蝉』 角田光代 中央公論新社 文庫版巻末あらすじより引用
不倫相手の子供を誘拐し、逃げのびていく女性(希和子)と誘拐された娘(薫)のその後の
人生を描いた物語。
もちろん許される事ではないし偽りの母娘関係ではあるが、注がれる愛情に嘘が無いのが
あまりにも切ない。
大きく、希和子(誘拐した母)視点のパートと薫(娘)視点のパートに分かれており、
その結末に心が揺さぶられます。
こちらもドラマ、映画で映像化されています。
③『半落ち』横山秀夫
「妻を殺しました」。 現職警察官・梶聡一郎が、アルツハイマーを患う妻を殺害し自首してきた。 動機も経過も素直に明かす梶だが、殺害から自首までの二日間の行動だけは頑として語ろうとしない。 梶が完全に “落ち” ないのはなぜなのか、その胸に秘めている想いとは。
『半落ち』 横山秀夫 講談社 文庫版巻末あらすじより引用
あまりに辛い選択を強いられた男が全てを語ったかに見えて、かたくなに明かさない
謎の二日間。
「死に場所を求めて彷徨っていた・・」として片付けられてしまいそうなその二日間に
梶聡一郎が見たものとは・・
生きる意味、生き抜く理由を考えさせられる作品です。
こちらもドラマ、映画で映像化されています。
④『十字架』重松清
いじめを苦に自殺したあいつの遺書には、僕の名前が書かれていた。 あいつは僕のことを「親友」と呼んでくれた。 でも僕は、クラスのいじめをただ黙って見ていただけだったのだ。 あいつはどんな思いで命を絶ったのだろう。 そして、のこされた家族は、僕のことをゆるしてくれるだろうか。
『十字架』 重松清 講談社 文庫版巻末あらすじより引用
亡くなった少年の遺書に名前を書かれた人、亡くなった少年の家族のその後を描いた物語。
見て見ぬふりをした罪は一体どれほどの重さなのか、いつまで背負うべきモノなのか・・
家族なのか、友人なのか、部外者なのかで感じる重みは全く違うのだろうが、のこされた
人間のその後の人生に大きく影響を与える事を、重い『十字架』を背負わせる事を、
果たして亡くなった少年は望んでいたのだろうか? と感じた作品。
こちらも映画にて映像化されています。
⑤『イノセント・デイズ』早見和真
田中幸乃、30歳。 元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。 凶行の背景に何があったのか。 産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の 追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。 幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、 彼女は······筆舌に尽くせぬ孤独を 描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。
『イノセント・デイズ』 早見和真 新潮社 文庫版巻末あらすじより引用
残酷な事件を起こした罪で死刑囚となった30歳の女性の人生を、本人あるいは彼女に関わった人たちの視点から描いた物語。
事件に至った背景、埋もれていく真実、そして彼女が選んだ選択とは・・
『人』が『人』に必要とされるという事の価値、現実にも起こりうる世論の危うさを考えさせられた作品。
こちらの作品はドラマで映像化されています。
【最後に】他者の人生・生き方に触れられる小説の魅力
くり返しになりますが、小説だから触れられる自分以外の人生・生き方には、良い意味でも 悪い意味でも惹きつけられる魅力があります。
隣の芝生は・・とか怖いもの見たさ・・といった感覚に近いかもしれませんね。
当たり前ですが自分の人生は一度きり。
大きなリスクは避けて生きようとする人の方が多いでしょう。
選べない選択、選ばない選択、巻き込まれるはずのない出来事、大きな成功、失敗、感動、スリル、恐怖など自分の人生で何かもの足りないと感じる部分。
そんな部分を時に小説という文章の世界で補うことは、あなたの人生や生き方をもっと豊かに するかもしれません。
本日ご紹介した作品や当ブログの別記事が、そんなあなたの手助けとなれば幸いです。