知り合うのは物語の中だけで良い?【悪女】が暗躍するおすすめ小説
小説を面白くしてくれる要素の一つに、個性的な登場人物があります。
一口に個性的といっても色々ありますが、今回はそんな中でも “悪女” と呼ばれる女性達をテーマに取り上げてみたいと思います。
“悪女”で検索するといくつかの意味が見つかりますが、ここでいう“悪女”とは美しさや偽りの人間性で、関わった人間の人生や命を弄ぶタイプの女性のことを指しています。
“悪女”の存在は物語に近づいてはいけない危機感と、怖いもの見たさといった正反対の刺激を加えてくれます。
現実の世界で関わることはあまり望ましくありませんが、小説の世界であればその悪女の魅力に惹かれてみるというのも一興です。
イヤミスを読んでみたくなる感覚に近いかも・・
今からご紹介する作品を読めば、悪女の手のひらで踊らされる恐怖と怖いもの見たさの好奇心が交じり合ったゾクゾクさせられる体験が待っているかもしれません・・・
【悪女】が暗躍するおすすめ小説
『嗤う淑女』
まず最初に紹介するのは中山七里さんの『嗤う淑女』
中学時代、イジメや重い病で生きることに絶望していた少女、野々宮恭子は自分と全く違って美しく聡明な従姉妹である蒲生美智留に骨髄移植のドナーといった形で命を救われる。
更にイジメからも救ってくれたことで憧れの気持ちを強くしていくが、やがて美智留に隠された “ある秘密” を共有することで、その関係性は異常さを帯び始める。
やがて大人になってより美しく成長した“蒲生美智留”は中学時代から片鱗を見せていた他者の欲望を操り、思うがままに支配する能力を開花させ自らに関わった人間の人生を大きく狂わせ始める・・・
このテーマを聞いて最初に浮かんだのがこの作品の主人公、“蒲生美智留” でした。
作中で美智留がなぜこのような人間性となっていくのかといった理由も明かされますが、それにしてもここまでやるか・・といった印象。
この作品すでに『ふたたび嗤う淑女』、『嗤う淑女 二人』と続編が刊行されており、
シリーズが進むごとに悪女としてのスケール、狂気さが増していくのですが、その行きつく先が気になって読むのが止まらなくなります。
ちなみにTVドラマ化もされていますよ。
『バビロンⅠ ー女ー』
続いてご紹介するのは鬼才、野崎まどさんの作品『バビロンⅠ ー女ー』。
東京地検特捜部の検事である“正崎 善”(せいざきぜん)は製薬会社と大学の関係する事件を追う中で、ある麻酔科医の異常な死の現場に遭遇する。
その後、事件の経緯を調べる中で毛や皮膚が混じった異様な血痕と“F”という文字で埋め尽くされた謎の書面が見つかる。
事件にただならぬ異様さを感じ、謎を追う正崎。
そんな中、時期を同じくしてある地域で行われる大型選挙に潜む陰謀に巻き込まれた正崎はやがてその裏に潜む一人の女、 “曲瀬 愛”(まがせあい)の存在にいきつくが・・・
今回ご紹介する作品の中で、最も恐ろしい“悪女”といっても過言では無いかもしれません。
その理由は彼女の持つ特殊な能力にあるのですが・・詳しくネタバレになるのでぜひご自分の目で確かめてみてください。
“悪女”の魅力もさることながら、それ以外の部分のストーリーの重厚さ、それを分かりやすく読ませる展開には脱帽で、読み始めると続きが気になって仕方がなくなるはずです。
現在シリーズが3作目まで刊行されており、一応3作目にはサブタイトルにー終ーとあるのですが、おそらく完結ではないと思われる展開でした。
情報は出ていないのですが恐らく続編があると信じて、まだかまだかと待ち構えています。
ちなみにアニメ化もされていて、そちらをご存知の方も多いかもしれません。
『白夜行』
続いてご紹介するのは東野圭吾さんの作品『白夜行』。
有名作品だと思うのでご存じの方も多いかも知れません。
大阪で質屋を経営する男が殺され容疑者は浮かんだものの決め手に欠け、結局事件は、迷宮入りしてしまう。
被害者の息子 “桐原亮司” と容疑者の娘 “西本雪穂”。
事件以降、何故かどちらにも証拠の見つからない犯罪の影がつきまとう。
やがてそれぞれの人生は交わることなく19年の月日が流れ・・
本作は二人の主人公の19年に渡る数奇な運命を描いた長編小説。
そのうちの一人である“西本雪穂”が本作における“悪女”の立ち位置です。
ちなみに他で紹介している作品の悪女とは少し印象が違います。
本作は現実離れしていないというか、雪穂の悪女っぷりは現実の日常にもありえそうな身近に感じてしまう部分があり、そこにえも言われぬ怖さを感じます。
ちなみに本作はドラマ化と映画化、両方されています。
【最後に】悪女に関わるのは小説の世界だけで・・
“悪女が暗躍するおすすめ小説”の紹介、 いかがだったでしょうか。
美しくも恐ろしい彼女たちが織りなすストーリーは、読み始めたあなたをしばらく物語の世界から開放してくれないかも・・
現実では遠慮したい悪女との遭遇も、小説の中であればその魅力に引き込まれてしまって問題ありませんから、心の中をゾクゾクさせる感覚を楽しみながら、新たな読書体験を味わってみてください。
本記事が読書、小説好きな方の読書体験を向上させるお役に少しでも立てれば幸いです。
ではまた次の記事でお会いしましょう。