【有川ひろ】『図書館戦争』|おすすめ長編シリーズ、小説全巻一気読みのススメ
たびたび紹介させて頂いている、有川ひろ(有川浩)さんの作品。
その中で、代表作と言っても過言では無い作品が、今回ご紹介させて頂く『図書館戦争』
シリーズです。
『自由に本を読む』といったことが当たり前でなくなった世界での物語は、読書を愛する
人間の興味を大いに惹きつけ、そして個性的な登場人物達による『表現の自由』を守る為
の戦いは、一度読み始めると目が離せなくなります。
本編が4冊、その後を書いた作品が2冊の全6冊からなるこの長編シリーズ。
ちなみに、作中に出てくる作品も実際に小説化されており、こちらも後でご紹介しますね。
まとまった時間が取れるなら全巻一気読みがおすすめですが、むずかしい場合は少しづつ
でも読んでみて頂きたいシリーズです。
それでは紹介記事、いってみましょう。
『図書館戦争』シリーズとは?
物語の舞台は『メディア良化法』という法律が制定されてから30年後の世界。
様々な表現が法の元に検閲、取り締まられる様になった世界で、『表現の自由』を守る為に
抗い続ける『図書館』、そしてその組織である『図書隊』の戦いを、女性隊員である主人公、
笠原郁(かさはら いく)と所属する図書特殊部隊(ライブラリータスクフォース)を中心に
描いた物語です。
そして取り締まる側の組織『メディア良化委員会』と『図書隊』側の戦いは、一応は決め
られたルールに則っているものの武力による激しいものであり、組織間、内外の人間関係、
駆け引きなど、非常に奥深いストーリーが展開されていきます。
物語自体はそういった少し重めのテーマながら、登場人物は主人公の笠原郁を含め、正義感
が強く熱血感であったり・・・と魅力あふれる個性的な人物が数多く登場するため、物語の
根底にあるテーマの重さだけを感じさせるようなことはありません。
むしろ読んでいて気恥ずかしくなるぐらいの、爽快なドラマを見せてくれます。
『図書館戦争』シリーズは根強いファンも多いようで、この後ご紹介する小説以外にも、
映画、ドラマ、アニメ、コミックスなど、多くのメディアに展開されており、その人気の
高さがうかがえます。
ちなみに作中に登場する『図書館の自由に関する宣言』は実際に存在する宣言で、本作が
伝えたかったテーマの一つではないかと感じました。興味のある方にはぜひ一度目にして
いただきたい内容です。
図書館の自由に関する宣言
日本図書館協会 ホームページより引用
第1 図書館は資料収集の自由を有する
第2 図書館は資料提供の自由を有する
第3 図書館は利用者の秘密を守る
第4 図書館はすべての検閲に反対する
『図書館戦争』シリーズ 全巻紹介
『図書館戦争』 図書館戦争シリーズ①
2019年 (正化31年)。 公序良俗を乱す表現を取り締まる『メディア良化法』が成立して30年。 高校時代に出会った、図書隊員を名乗る “王子様” の姿を追い求め、行き過ぎた検閲から本を守るための組織・図書隊に入隊した 一人の女の子がいた。名は笠原郁。 不器用ながらも、愚直に頑張るその情熱が認められ、 エリート部隊・図書特殊部隊(ライブラリータスクフォース)に配属されることになったが……!?
『図書館戦争』 有川浩 角川書店 文庫版 裏表紙あらすじより引用
シリーズ1作目。
主人公、笠原郁の図書隊への入隊〜図書特殊部隊(ライブラリータスクフォース)への配属、そして上官となる堂上篤達との出会いや関係性が描かれています。
一作目から登場人物の個性、物語の設定の奥深さが際立っていて、
グイグイ惹き込まれます。
『図書館内乱』 図書館戦争シリーズ②
図書隊の中でも最も危険な任務 を負う防衛隊員として、 日々訓練に励む郁は、中澤毬江という耳の不自由な女の子と出会う。毬江は小さいころから面倒を見てもらっていた図書隊の教官・小牧に、密かな想いを寄せていた。そんな時、検閲機関である良化隊が、郁が勤務する図書館を襲撃、いわれのない罪で小牧を連行していく。かくして郁と図書隊の小牧奪還作戦が発動した!?
『図書館内乱』 有川浩 角川書店 文庫版 裏表紙あらすじより引用
シリーズ2作目。
図書隊の教官である小牧幹久とその幼なじみである中澤毬江が
中心となり、物語の敵役となる『メディア良化委員会』の闇の部分
が描かれています。
主人公、笠原郁と上官である堂上篤の微妙な関係性も見もの。
ちなみに本作の作中に登場する『レインツリーの国』という作品は、実際に小説版として出版されています。
『図書館危機』 図書館戦争シリーズ③
思いもよらぬ形で憧れの “王子様” の正体を知ってしまった郁は完全にぎこちない態度。 そんな中、ある人気俳優のインタビューが、図書隊そして世間を巻き込む大問題に発展。 加えて、地方の美術展で最優秀作品となった“自由” をテーマにした絵画が検閲没収の危機に。 郁の所属する特殊部隊(タスクフォース)も警護作戦に参加することになったが!? 表現の自由をめぐる攻防がますますヒートアップ、ついでに恋も……!?
『図書館危機』 有川浩 角川書店 文庫版 裏表紙あらすじより引用
シリーズ3作目。
主人公 笠原郁と上官 堂上篤の関係性が大きく変わり始める本作。
二人の関係にも注目ですが、『図書隊』と『メディア良化委員会』
の戦いも徐々に激しさを増していき・・
この辺りまで来ると、もう次の巻を読まずにはいられないはず・・
『図書館革命』 図書館戦争シリーズ④
原発テロが発生した。それを受け、著作の内容がテロに酷似しているとされた人気作家・当麻蔵人に、身柄確保をもくろむ良化隊の影が迫る。当麻を護るため、様々な策が講じられるが状況は悪化。郁たち図書隊は一発逆転の秘策を打つことに。しかし、その最中に堂上は重傷を負ってしまう。 動揺する郁。 そんな彼女に、堂上は任務の遂行を託すのだった「お前はやれる」。表現の自由、そして恋の結末は!?
『図書館革命』 有川浩 角川書店 文庫版 裏表紙あらすじより引用
シリーズ4作目にして本編の最終巻。
激しさを増していく『図書隊』と『メディア良化委員会』の戦い、
『自由』を守る戦いの結末は・・物語は怒涛の勢いで展開して
いきます。
そして、主人公 笠原郁と上官 堂上篤の関係もクライマックスに
ふさわしい結末が・・。
最低でもここまでは読んでみて欲しいです。
『別冊図書館戦争1』図書館戦争シリーズ⑤
晴れて彼氏彼女の関係となった堂上と郁。 しかし、その不器用さと経験値の低さが邪魔をして、キスから先になかなか進めない。 あぁ、純粋培養純情乙女茨城県産26歳、図書隊員笠原郁の迷える恋はどこへ行く!? 恋する男女のもどかしい距離感、そして、次々と勃発する、複雑な事情を秘めた事件の数々。 「図書館革命」後の図書隊の日常を、 爽やかに、 あま〜く描く、恋愛成分全開のシリーズ番外編第1弾。 本日も、ベタ甘警報発令中
『別冊図書館戦争1』 有川浩 角川書店 文庫版 裏表紙あらすじより引用
シリーズ5作目。
本作からは少しスピンオフ的というか、ファンサービス的というか・・
本編程の緊迫感は無いけれども、『そうそう、その後が気になってて・・』という部分が読める作品。
筆者の様なおじさん世代には少し気恥ずかしい感じもありつつ・・
でも気になって全部読みましたけどね。
『別冊図書館戦争2』図書館戦争シリーズ⑥
“タイムマシンがあったらいつに 戻りたい?” という話題で盛り上がる休憩中の堂上班。 黙々と仕事をしている副隊長の緒形に、郁が無邪気に訊くと、 緒形は手を休め、遠くを見つめるように静かに答えた― 「・・・大学の 頃、かな」。 未来が真っ白だった無垢な時代。 年をとるごとに鮮やかさを増す、愛しき日々。平凡な大学生であった緒形は、なぜ本を守る図書隊員となったのか!? 過去と未来の恋を鮮やかに描く、 シリーズ番外編第2弾
『別冊図書館戦争2』 有川浩 角川書店 文庫版 裏表紙あらすじより引用
シリーズ6作目にして正真正銘の最終巻。
こちらもこれまでの登場人物にスポットを当てた、スピンオフ的
な作品。
これまでスポットが当たっていなかった『図書隊員』の守りたい
ものが垣間見えたり、本編で明らかになっていなかったある二人
の関係に進展があったりと、シリーズ最後まで読んで良かった・・
と思える一冊でした。
『レインツリーの国』番外編
本作は完全な番外編で、シリーズ2作目『図書館内乱』の作中に
出てくる作品です。
こちらも気になる方はぜひ!
【最後に】『図書館戦争』シリーズの魅力とは?
『図書館戦争』シリーズ、第一作目『図書館戦争』の単行本の初版は2006年。
17年前の作品ながら、色あせない本シリーズの魅力とは一体なんなのか?
緻密に練られた設定、登場人物の魅力はもちろんのこと、物語の根底にある『表現の自由』
を守る為の戦いという部分が、読書好きな人間の心を揺さぶるテーマだからなのかな・・
と個人的には解釈しています。
読書が好きな方なら、『自由に好きな本を読むことを制限された世界』といった設定だけ
でも興味を惹かれるのでは?
まだ読まれていない方は、ぜひ一度手にとられてみることをおすすめします。
本好きな娘(小学生)にも、中学生ぐらいになったら絶対に勧めて
みようと思っているシリーズです。